
高校二年生の越前亨(えちぜんとおる)は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりない。父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしており、父親が残した本を一冊ずつ読み進めている。亨は、売れなかった作家で、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。あらすじ(出版社サイトより)
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子(こさきゆこ)と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見、距離を取りながら亨は日常を適当にこなす。八月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かける。そしてその日の真夜中、クラゲが降った。逸る気持ちを抑えられず、亨は小崎のもとへ向かうが、小崎は「何の意味もなかった」と答える。納得できない亨だが、いつの間にか彼は、自分が小崎に対して興味を抱いていることに気づく。
この物語には、いろんな要素が含まれていると感じた。感想
小説とクラゲと反抗のYA
総じて、気持ちの良いYAだと思う。
1.小説
登場人物の多くが読書家だ。実在する作家や作品の名前が多数登場し、それらに対する愛が語られる。
明治の文豪から、現代の作家まで。ジャンルを問わず、様々な作家や作品が紹介される。
もしここで気になる作品に出合えたなら、ぜひ実際に読んでみるといいだろう。
2.高校生がクラゲを降らせる
ここだけちょっとファンタジー。中盤から終盤にかけて、クラゲ乞いへの情熱が加速していく。
やっていることは奇妙だけど、仲間を増やしながらクラゲ乞いに取り組む姿は、まさに青春の1ページ。
3.主人公の成長
父親との過去の因縁がきっかけで、斜に構えて周囲の人との距離を取っている亨。
でも、いろんな出来事を経て、人とのかかわり方を見つめなおしていく。
特に、図書委員の矢延先輩は、さっぱりしていてかっこよく、亨を導いてくれる。好きなキャラだ。
4.反抗
本作では、世界・環境・大人などへの反抗が描かれる。
そして、それがクラゲの話題に直結するのだ。うーん、やっぱり奇妙かも笑